読んだ: チップチューンのすべて
上に挙げた感じのファミコンっぽい音源でピコピコやってる音楽のことを、チップチューン(chiptune)と呼ぶらしい。洞窟物語のサントラを延々と聴いていた頃を思い出す。チープでどこか懐かしいような音源を使った音楽だ。
そう、この愛おしいピコピコ音楽にはジャンル名があったのだ、みんなもこれでググれるよ!嬉しいね。
さらにディグりたい人のための本が出たらしく、これだ。
チップチューンのすべて All About Chiptune: ゲーム機から生まれた新しい音楽
- 作者: 田中治久(hally)
- 出版社/メーカー: 誠文堂新光社
- 発売日: 2017/05/11
- メディア: 単行本
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読んでみるとすごい。
最初期のコンピュータの動作確認用の音で、無理やり音階を奏でてみた時代からチップチューンの歴史を始めている。この本は本気だ。チップチューンの定義から考え直そうとしている。
内容は、私の知らないことが多くて面白かった。
アーケードゲームの音楽に魅せられて、再現しようと友達の家のコンピュータをいじくりまわす。ひと昔前のパソコンは機種ごとにぜんぜん違う、互換性もない。そういうところでは、音楽を扱えるプログラムを作るところから始まる。 *2
そんな中でもインターネットの前身みたいな通信サイトではゲームから剥ぎ取り(リッピング)した音楽に混じってオリジナルのチップ音楽が交換され、そこには伝説のプログラマが居て、プログラムによる音楽表現の限界に挑戦していた……
パソコン通信やパソコンを使ったコンテンツがおたくたちのもので、ネットコミュニティがキラキラしていた頃の空気を感じた。多少理想化されているにしても、あるジャンルを育てた土壌みたいなものの豊かさが確かに伝わった。
こういう歴史を語ってくれることはすごくありがたい。なぜならウェブサイトって意外と普通に消えたりするから。語り残す意志を誰かが持たなければ、アーカイブを残さなければ、後からきた人には文化があったことすらわからなくなってしまう。なんでも新しい方にはすぐ積み上がるけど古いものはどんどん消えていく傾向がある。そういう中でこういうアーケード時代やエミュレータ文化がまとまって書き残されていると、面白いし勉強になるし、先人へのリスペクトの贈り先もわかるのでいい気分になる。
巻末の現代の人のインタビューも面白かった。上の動画の二人はそれで知った。