つらくなくなっちまったらどうする?——つらさとアイデンティティを混同しないで生存する
これは「虚無とたたかう」アドベントカレンダー最終日の記事です。
人はいつまでも虚無とはたたかえない。
ふと気づくとあんなに辛かった、ずっとたたかっていたはずの何かが薄れ、焦りが薄れ、もはや関心をひかないことになっていることもある。生活に追われて虚無どころでなくなることもあるだろう。
それならそれでいいんだと思う。虚無とのたたかいを必要としない時期まで生き延びたということだから。
それでも自分のつらさをアイデンティティにしちゃってると、つらくない自分に不安を覚えるかもしれない。
精神科医の中井久夫は、統合失調症の治りかけの人に、「寂しくなるよ、ただのひとになっちゃうんだよ。それでも大丈夫?」と聞くという。どれだけ症状がつらくとも、そこには何かしらの特別がある。
虚無には人を魅惑する何かがある。そこから逃れるのは簡単なことではない。
- 作者: 中井久夫
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 1997/08/09
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つらさとたたかうのは非常に体力をつかうことで、実際つらいとそれしかなくなるときもある。
けれどもいつまでも同じ強度でつらいわけではないから、死ぬのは勘弁してやってほしい。
「虚無とたたかう」アドベントカレンダーはこれで終わりです。大変だったけれど、これを書いている間は虚無ではなかったよ。
1日目が目次になっていてそこから好きな記事へ飛べます。おすすめは犬と異性愛者と破滅です。なんて並びだ。
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以下はアドベントカレンダーのどこかで使おうと思ってたけど結局削ったNGフレーズ集です。何かに使ってくれてもいいですよ。
自分は自分のことなんとかやってると思ってるけど実際は光の乏しい環境で育って変な形に曲がった木のようなものだ。ねじ曲がっていて、いまさらそれを直すこともできない。しかしそれに気づかないフリをして生存することには意味がある。気がする。意味ってなんだ。虚無とは。
わかりあえない人同士もわかりあわないままに一緒にやるってのが多様性ってやつなんじゃないか。
人から物をもらうとする。もらってしまった。もらってしまったからにはお返しをしなくてはならない。贈与によって負い目が生まれ権力関係が生まれてしまった。しかしこんなこと考えても利用されるばっかりだ。ただ受け取ったらありがとうってヘラヘラしてればいい。あげられる人があげられる時に貰えばいいのだから。