尾道に行った
豊かな場所だった。
『しまなみ誰そ彼』や、「東京物語」を先日立て続けに見て、こんなに尾道作品を見てしまうということは、これはもう行けってことなのでは?と思い、行ってきた。
街の会話
日陰にいた強そうな猫
「オオァーーーオ」
喫茶店に居ためんどうな女
「ほんっとめんどくさい。話聞くのもめんどくさいし話聞きたくないって言うのもめんどくさい。ほんーーーーっとどうでもいい!」
繋がれた猫の飼主
「この子警戒心がないから、すぐ観光客にくっついて行って迷子になっちゃうんですよ」
風景について
商店街の豊かさにまず驚く。ほぼすべての看板がかっこ良く、印刷物に頼っていない。美的リテラシーがあり、ラーメンも正統派醤油ラーメンを余計なもの入れずチューンアップした感じ。古いものを古いまま、滅びないように置いておく事ができるのは、本当に豊かである場所だけだとよくわかった。
実際尾道は港町で、ヤバイお金持ちが大量にいたようで、wikipediaのすぐ上の方にすら、
尾道市主導の開発の幾つかは市民の抗議により頓挫している。平成に入り、2度高層マンション計画が上がったが、1度目は署名活動を展開した市民団体が用地を買い取り現在はMOU尾道市立大学美術館となり、2度目は市民の抗議活動を受けて市が用地を買い取り公園になった。
という金持ちが物理で殴って解決したみたいな話が書いてある。
ただ金があるということはすごくて、金があれば失なわなくてもいいものを失わずに済む。古くてかっこいいものがどうやってかっこ良くなったか、そのやり方を失わないでいられるので物が全体的にかっこいい。商店街では、昔の看板の下に別の店を出していたりする。焼け野原や高度経済成長で決定的に失われた何かを残している感じがした。大正モダンとかめちゃくちゃかっこいいじゃないですか、そんな感じ。
山の方の坂道も、人が二人並べばいっぱいになるような細い坂道の脇に木がどんどん伸びていて、でも道は整備されていて歩きづらいわけではない。建物は古くてでもきれいで風情が爆発している。猫ですら筋骨隆々で、おばあさんもなんだか元気に見えたので、ここで暮らせば足腰が強くなるんだろうな、と思った。