知性がない

なけなしの知性で生き延びていこうな

過去の自分へ嫌がらせをしたい

会社をやっている。でも謎の会社だと思われているらしい。
分かってもらうために高島鈴(@mjqag)に100問考えてもらって質問攻めにしてもらった。近いうちに100問100答が公開されるはずだ。

その質問の中に「もし過去の自分へアドバイスできるとしたら何と言いますか」というものがあって、私は考え込んでしまった。私は過去の自分と仲が悪いのだ。もし会えたら殴り合いになると思っている。なのでこう答えた。
Q もし10年前の自分へアドバイスできるとしたら何と言いますか
A 「お前は残念ながらこれから死ぬほど苦しい、しかし私には救えない。誰にも救えない。苦しみは長く続く」と言って嫌がらせをする

この回答は高島を驚かせた。
なぜ驚くんだろう、過去の自分に嫌がらせしたいのは自然な感情ではないのか? 10年分愚かな自分だぞ。嫌がらせ、したくない? ない?? ないか。
そうして考えた。なにか、重いものがあるんじゃないか。

10年前の自分はとても苦しんでいた。病気を拾ってひどい鬱に悩まされていたのだ。この苦しみがなくなるのなら死んだって良いと思っていた。とにかく思いつめていたのだ。
身の回りの奴ら全員能天気になにかに救われてるように見えて、それが許せなかった。どうしてあいつらが楽しそうで自分はそうでないのか。恨みを吐き出すことはなかったけど黙って軽蔑をしていた、と思う。愚かなだけでなく性格も悪かった。きっと比較的能天気に見える10年後の自分のことも許さなかっただろう。
ウィリアム・ジェイムズという人がいて、ジェイムズは神秘体験で救われた人の事例を集めて研究をし、人間は生まれながらに2種類に分かれていると書いた。健康な心を持った者と、魂が病んでるから一度神秘体験をやらないと楽しく暮らせない者と。ジェイムズは明らかに後者っぽかった。ジェイムズは救われてる奴らのことを許していただろうか? 私なら許せなかったと思う。
魂なんて本当は病んでない方が良いんだ。ただの苦しみに魂なんて持ち出すのは悪いことでしかない、そんなことは分かっている。しかし別の人間だとでも思わないと耐えられない。

過去の私は閉じ込められた獣に近かったし、その上自分で自分を閉じ込めていて、それを人のせいにしていた。
生きていたくないのはここから出たいの裏返しだったし、ずっと 幻に聞こえていた誰かの悲鳴はやっぱり自分の声でここから出せと言っていた。そのときは出たいのは肉体からかと思っていたけど、きっと少し知らない場所に出てみるだけでよかったんだ。
誰かに話せば良かったとは言えない。辛い話は聞かされる方も辛いから。
きっと今の私がなにか言えたとしても当時の自分には伝わらないだろう。伝わらないことを伝わらないと分かって話すやつはいない。
でも、当時の私が自分にずっと悲鳴や苦しみやらで同じことを言っていたなら、それは伝わると思ってたんじゃないか。
救われなんて諦めていた、でも救われなんてしなくても出ることならきっとできた。諦めていたとか言いながら本音では諦めてなんかいなかったんだろう。
ただ、誰かの話を聞くのと同じ位の真剣さで自分の声を聞けば、聞ければ良かったんだと思う。

ここまで考えたけどやはり私は過去の自分へ会えたら嫌なことを言うと思う。過去の自分は愚かだろうけど、未来の自分が嫌がらせに来たら、苦しみは長くとも少なくとも出口のないものではないとわかるだろうし、無意味に苦しんだわけではないともわかるだろうから。