ホモソを避けてヘラヘラ集う
これは「虚無とたたかう」アドベントカレンダー17日目の記事です。
今日はホモソーシャル(ホモソ)の話をします。
今日のまとめ
- ホモソーシャルは排除によって成り立っているのでつらい
- なにかをやろうとするとホモソの壁にぶつかるのでそれもつらい
- すでにある権力を避けるにはヘラヘラするしかない
ホモソーシャルとは
ホモソーシャルとは何か。ゲイの社会のことではないよ。もともと社会学の用語で、同質の人が集まっている社会を指す。悪口で言うときは、女性蔑視と同性愛嫌悪によって成り立ってる世界を指します。まあ男子校ノリのことだな。セジウィックが言ってるアレです。
- 作者: イヴ・K.セジウィック,Eve Kosofsky Sedgwick,上原早苗,亀沢美由紀
- 出版社/メーカー: 名古屋大学出版会
- 発売日: 2001/02/01
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ホモソがつらい
このホモソがつらいってのは、片方の性をおとしめることでプライドを成り立たせてる構造がつらいってことね。それ差別じゃんっていう。
私がかつてバイトしていた会社にはめちゃくちゃできる女の人が取引先に行ってきたときに「身体売ってきたの?」って言っちゃう偉いおじさんが居たよ。それでゲラゲラ笑わなかったやつは仲間にしてやらない風潮があった。わざわざ言うまでもなく最悪だよな。私はその瞬間ちゃんと怒れなかったことを今でも後悔している。
ホモソの壁、ガラスの天井
テレビつけたらわかるけど日本では権力の上の方までホモソ男性でぎっしりです。そこで一緒になって女性蔑視や同性愛嫌悪をやれば出世階段を登れる。偉い人ってかなりおっさんばっかりでしょ? でも誰でもおっさんになれるわけではないよね。多く見積もって人口の半分ぐらいだよ。名誉男性枠とかあるけどさ、(要するに女性だけど「女性」ではないように扱われ、おっさんたちと一緒に女性蔑視をやる枠だよ。詳しくはググったり身近なフェミニストに聞いてみてね)それでも、そんなんつらいよ!
いろんなことをやるためにはお金や権力が必要で、でもこれがたくさんほしくなると、どうしても人間と関わる必要がある。そして、このホモソの壁にぶつかるんだよな。
すでに世にホモソの権力がある中で、どう生存すりゃいいんだ。
差別をやる側にも回らず、それでいて差別されるのも嫌なんだったら。
権力構造から逃れたい
人が言語をやってると、そこにはすでに権力がある。言語に権力構造が埋め込まれていると言えばいいのかな。例えばただ単に「王様」といったらそれはだいたい男性を指す。女の王様の場合はわざわざ「女」王って言うよね。
人間が二人いればそこに権力が出てくるのはわかるよ。けれどむしろたった一人で考えてるときすら、権力からは自由ではない。ヒエ〜人間は虚無からも権力からも逃げられないのか〜!
だから小説家や詩人とかの言語をかき乱す仕事は、権力をかき乱す仕事にもなる、みたいな話もある。けれどもこの話は私もまだ勉強中なので興味がある人はクィア理論とかで調べてみてください。
- 作者: 河口和也
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権力からはどうも逃れられないのだとしたら、もうヘラヘラするしかないんじゃないか。お前のホモソなんて知らねえ、こっちはこっちで生き延びるぜって。でもホモソ以外のとこって全然金ないんだよなあ。困ったね。
権力にのるかそるかでなく、権力の横に逃げる。
ある権力があって、そこに横があるのかもよくわからないけれど、ヘラヘラヌルヌル生き延びてたら生き残り同士で集まって別の権力をやれるんじゃないか。たったひとつの大きい権力でなく、小さい権力がたくさんあった方がよい世界に思える。選択の余地があったほうがいいと私は信じているので。
けれども小さい権力を支えてるのはより大きくて見えづらい権力だったりする。ハイパーニッチな趣味人同士がつながれてるのは検索エンジンのおかげなんだけど、検索エンジンやってるのはでかい企業だからな。潔癖症には生きづらいな!
虚無とたたかっていたら権力の闇に頭を突っ込んでしまった。
明日はラストですね。「つらくなくなっちまったらどうする?」って話をします。
2017/12/26 終わりました