仕事が学校に似てて辛いって話
会社がつらい。特にいじめられているわけでもなく、激務というわけでもないが、ただ一日にいくらか拘束されて好きなことができないことが苦痛で仕方ない。やりたいことはたくさんあるし、それには金だって必要だから働きはするんだけど、すぐ体を壊すし帰ってご飯を食べたらへろへろになって特に価値あることができなくなってしまう時が多い。働く前はもうちょっといろいろ知性のこととか手首を投げることとか考えてた気がするし、もっと楽しいことだってたくさんあるはずなのに、いまや労働と金のことばかり考えてしまう。それが辛い。
なぜ企業で働くとそんな風になるかは簡単で、会社の基本システムは学校(義務教育の方)に似ているからだ。学校の教育のメインは、授業ではない。学校の目的は、特定の時間に起きて、ある場所に座ってじっとしていることができるようになる人間を作ることだ。それが企業に求められていることだから。
いわば、座りっぱなしというダンスを踊るように躾けられることが、教育というもので、ここでそれができるようになった人々が会社に特定の時間に行き、座って、知性を使うか使わないかよくわからない業務をこなす。大量生産工場の名残なんだと思う。
そのダンスにうまくノレない人はあらゆる方法で迫害される。学校が辛かった人は社会人でもかなり辛いが、この国で就業していない人がどんな目に遭うかはみんなよく知っていることだろう。
大学は学校→会社の流れとは少し違って、だから大学が一番楽しかったと言う勤め人がいたり、大学にいつまでも居たがる人がいたりする。私も大学に戻れたらかなり嬉しい。利益とかいうもの以外の価値が存在している気がするし、謎のダンスを踊らされることもないからだ。
企業で働く羽目になってしまえば、ある時間拘束されるのは仕方ないし、早く終わったからと言って定時より早く帰れることはまずない。
私はただもっと、本を読んだり遊んだりゲームしたり、愉快に暮らしたいだけだというのに、どうして勤め人はこんなことになってしまうのだろう? そんなにのんびり暮らすのは贅沢なことなんだろうか? そんな奴がたのしく生きるにはどうしたらいいのか?
結局ひきこもってぼんやりしたいとか、金を使わないで遊んでたいとかいうものは、社会の、大人の世界では許される欲望ではなくて、そうしたいと思って何かするだけで、悲惨な結末がちらついてくる。
月給取りでもない限り安心して生存する権利なんてないみたいだが、月給取りだからといって特に安心しているわけではなさそうだ。解雇されてしまえば月給取り生活なんて終わりだし、病気やけががあれば月給は出なくなる。*1
ちなみに報酬は仕事の大変さではなく責任の重さに連動しているようなので、出世すれば収入も自由も増えるかというと増えなさそう。多分よけいに資本主義にからめ取られるだけ。
社会はたくさんの普通の人を効率よく働かせるためのものなので、たった一人でそれに抵抗しても勝ち目はなさそうだ。社会で労働以外のところに楽しみを見いだしている人は、労働からはみ出した時間で満足するしかない。それはまあつらいことではあるんだけれど。
時間を優先してバイトで暮らす手もあって、私はいまそれに近いのだけど、金がないと結構つらくて、病気になった瞬間本当に金がなくなって偽物のヨーグルトを食べたり昼ご飯を毎日抜いたりする羽目になる。
たぶん、せめて、毎日同じ時間に起きて同じ場所にn時間座っているだけの価値を感じることを仕事にするのがいいんだが、無数にあるやりたいことを無視してまでやりたいお金儲けなんて存在するんだろうか? 本当に面白くて最高なことはだいたい金にならないのだ。
さあどうすれば望む自由が手にはいるのか。 研究者になれるほど頭が良くないことも、ベンチャーで一発当てられるほどキレ者でもないことも、自営業で一人でなんとかやっていけるほどのコネもメンタルの強さもないことがわかっているけれど、それがわかってしまう程度には頭がいい奴は、ただもう企業に拘束されつつ消耗しバカになって死んでいくしかないのか?*2
かなしいことだが、多分そうなんだろう。このままでは。
出口がいつどんな風に現れるかはわからない。 その日に備えて、金と体力とスキルをつけて考え続けるしかないし、そのためにもせいぜい時間と体力を確保し、好きなことをしつづけられるよう、なけなしの知性を使うしかない。
本当は好きなことにだけ知性を使っていたいところだが、世界が過酷だから仕方がない!
起業するにもニートやるにもお金がいるのでつらいところだ。地面代(家代)は高いし食費だってかかる。働かずに実家に居たら失わなくていいものまで失いそうだ。 お金は貯めた方が生存率が上がるし、体力はないと辛い。とにかくこの二つはどれだけあっても困らない。
仕事以外に面白いことがたくさんある人は、仕事はあんまり頑張らないように頑張って、定時に帰るキャラを確立しておくといいかもしれない。
変態か病人扱いされておけば、出世する心配もない。クビになるかもしれんが。出世した方が楽なのかもしれないけれど、したことがないのでわからない。少なくとも金が無い思いをすることはなくなるのかもしれない。先の景色を見た人が居たら教えてほしい。
小説家の保坂和志はあんまり出世しないようにして、打ち合わせに出るフリしてこっそり小説を書いていたそうだ。*3自由すぎかよバブルかよ、と思うけど、このノリで働けて、やることやってれば文句言われないみたいになれば楽なのかなとも思う。
とりあえず生き延びたらなにかもうちょっとわかる気がする。 これは雑記なのでオチはない。
- 作者: ミシェル・フーコー,Michel Foucault,田村俶
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1977/09
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 124回
- この商品を含むブログ (227件) を見る